青春時代、誰もが一度は読んで胸を熱くする詩「智恵子抄」
私が智恵子抄を初めて知ったのは小学生の時だったと思います。
学生時代にこの詩を好きでボロボロになるまで読んだという方のブログを見ていたら、最近読み直してみたら智恵子が統合失調症を発症したのは光太郎のせいなんじゃと思えてきたと書いているのを読んで、私もこの詩に興味を持つ用になりました。

光太郎の情熱的な愛を彼を愛するが故に精一杯受け入れた智恵子、その愛の代償として無理がかかり発病したのではと考える人も多いみたいですね。
今日はその詩について少しお勉強してみたいなと思います ^^)

智恵子抄は１９４１年に詩人であり彫刻家のフェミニスト高村光太郎が亡き妻へのほとばしる愛を表現し竜星閣から出版した詩集です。

高村智恵子と結婚する前から彼女の死後の３０年にわたって書かれた彼女との純愛の詩です。
その中でも「レモン哀歌」と並んで有名な作品で教科書にも載っているのが次の「あどけない話」

「あどけない話」
智恵子は東京に空が無いといふ
ほんとの空がみたいといふ
私はおどろいて空を見る
桜若葉の間に在るのは
切っても切れない
むかしなじみのきれいな空だ
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ
智恵子は遠くをみながら言ふ
安達太良山の山の上に
毎日出ている青い空が
智恵子のほんとの空だといふ
あどけない空の話である

「ほんとの空」とは安達太良山上空に広がる青空のことです。
安達太良山は福島県中部にある活火山で日本百名山、新日本百名山、花の百名山、うつくしま百名山に選定されています。
別名岳山、安達太郎山。
この詩で智恵子が１年のうち３、４か月郷里に帰っていたことを述懐し、病気をしても実家に帰省することで平癒したと書いています。
古里を深く愛していた智恵子は東京と小里の違いを青い空で表現しました。

智恵子は造り酒屋に生まれた洋画家で何不自由ない生活を送っていたそうですが知人の紹介により光太郎のアトリエで知り合い結婚し明日の食べ物にも困る苦しい生活を強いられたそう。
光太郎の創作の邪魔にならないよう、自分の芸術活動を削り家事に尽くしたそうですが１９２９年に智恵子の実家が破産し精神疾患にかかり発狂します。
光太郎は熱心に看病し、彼女の家族の住む千葉の九十九里浜に移住するなどしましたが回復はしませんでした。
１９３１年、自殺未遂事件を起こし１９３８年に粟粒性肺結核で５２歳の若さで死去しています。

清純で純愛に生きた女性で、思い詰めると他の一切を放棄しても悔やまない性格の智恵子。
光太郎への愛と信頼の深さは異常なまでだったそう。
そんな純粋な智恵子に惹かれた光太郎。

一方で病弱だった智恵子には東京の空気が合わなかった為、彼女にとっては安達太良山の空こそが本当の空で都会育ちの光太郎には彼女の気持ちが分からなかったという２人のすれ違いが描かれている詩でもあると言われています。

芸術家同士の愛だからなぁ、、、普通とはかけ離れた部分もきっとありますよね。
光太郎さんの智恵子への愛って身勝手だったりしたのかな

「僕はどうすればいいの。智恵子が死んだらどうすればいいの？僕は生きられない。智恵子が死んだらとても生きてゆけない。」
高村光太郎が智恵子を見舞った帰りに友人の草野心平に言った言葉です。
やっぱり光太郎さんて情熱的・・・

多くの女は「智恵子のようになりたくはないけど智恵子のように愛されたい」と思う・・・

※効果には個人差があります